2023年06月26日

紙のサイズのあれこれについて

皆さんこんにちは。
企画課の伊藤です。


最近、我が企画課も新人を迎え入れることになりました。
希望にあふれた初々しい新人さんを見ていて、つい自分の新人社会人時代はどんなだったかなと古い記憶を掘り起こすことの多い日々です。

そんなある日、展示会業界では当たり前の説明パネルについて話をしていました。

展示商品の横や後ろに説明書きとして設置されているあれです。そのサイズはほとんどの場合がA1であることが多いのですが、ではA1とは何ぞやということになりました。

(2022年 JAPANSHOPでのBOX・1ブースにおけるA1パネル掲示の様子)

長年この仕事をやっていると、紙のサイズであるA判・B判って当たり前のように感じているけれども、世間一般的に広く知られている絶対の常識ではないんだなと実感したのでした。


というわけで、今回は改めて紙のサイズについて取り上げてみたいと思います。

A判は、19世紀末ドイツの物理学者オズワルドによって提案されたドイツの規格で、縦横比率が「縦:横=1:√2」となっており、どこまで半分にしていっても同じ形になるという相似形の長方形です。
これは今では国際規格になっています。

全ての基準はA0で、縦横の寸法は841mm×1189mm。
これの半分がA1で、縦横の寸法は594mm×841mm。
以下、A2、A3、A4と小さくなるごとに紙のサイズは半分になっていきます。
一番ポピュラーなA4は210mm×297mmとなります。

相似形で縦横の比率を一定にすることのメリットとしては、どの大きさの紙を作るにしても裁断する上でロスが出にくいということが挙げられます。



続いてB判について。

展示会業界ではあまり使用することの少ないB判ですが、日本で開発された用紙サイズで、縦横比率はA判同様「縦:横=1:√2」になっています。
B判は日本で古来親しまれている美濃紙がルーツになっており、A判とは異なり国際標準規格の用紙ではないようです。

全ての基準はB0で、縦横の寸法は1000mm×1414mm。
これの半分がB1で、縦横の寸法は707mm×1000mm。
以下、B2、B3、B4と小さくなるごとに紙のサイズは半分になっていきます。

A判よりも一回り大きなサイズですね。



実は長年、A判の寸法って中途半端な数字だなと感じていました。基準のA0にしたってキリの良い数字ではありません。不思議だなと思いつつも、なんとなくそんなものなのだと納得していました。
しかし今回、このエントリーを書くために色々と調べていると、A0の縦横寸法の数字を掛け合わせると (0.841×1.189=) 約1になるということを知りました。
つまりA0の紙の面積は約1uだったのですね。

約1uのサイズを「縦:横=1:√2」に当てはめると、縦横の寸法が841mm×1189mmになるというわけなのでした。

因果が逆だったのです。
まず先にキリのよいサイズを決め、そこから縦横の比率を当てはめると中途半端な数字になった、と。

ちなみに、この「縦:横=1:√2」という比率は白銀比と言うそうです。有名な黄金比と並んで白銀比というものが存在するということは知っていましたが、紙の判型に関係する比率だったというのは知りませんでした。


まだまだ知らないこと、よく理解していないことが世の中にはたくさんあるなと感じました。
当たり前だ、常識だ、などと物事を思考停止して受け入れていくのではなく、ちょっと立ち止まって目の前の事象をよく見てみると、意外と新しい発見があるのかもしれません。
そういう気づきを得たというお話でした。


ではまた。
posted by ボックス・ワン at 10:17| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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